ビデオ教材のスタイルと学習の質 : 芸術的表現か構造的な提示か
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概要
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本研究はビデオ教材のスタイルに着目し,次の仮説を検証することをねらった。ビデオの表現スタイルは,内容に関する学習者の既有知識と興味の水準とともに,ビデオ学習への関与の強さに影響し,学習の質にも影響する。ふたつのセッションにおいて,大学生が,俳人・画家である与謝蕪村の生涯と作品に関する2本のビデオを視聴した。2本のビデオは,内容は似ているが,表現スタイルが異なる。ひとつは芸術的表現のものであり,もうひとつは教科書的な構成のものである。学生のビデオ視聴中の関与の程度が測定され,彼らの内容に関する既有知識と興味の水準が事前に評価された。結果は,学生の学習は既有知識によってもっとも影響されるが,ビデオ視聴への関与の程度が学生の内容に関する興味に沿って変化することを示した。さらに,学生のビデオに対する好みが,関与の程度に関係し,ふたつのセッションにおける因果関係のパターンも異なっていた。これらの結果は,ふたつのビデオの表現スタイルの違いに影響されているとの考察がなされた。
- 日本教育メディア学会の論文
- 2007-10-31