地域における郷土芸能の役割と今後の可能性 : 岩手県岩泉町「中野七頭舞」を事例として
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概要
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東日本大震災からの地域コミュニティの再建に欠かせないもののひとつとして、郷土芸能の重要性はしばしば指摘されてきた。本稿では、岩手県岩泉町小本地区において伝承される中野七頭舞に着目し、1976年に小本地区で「中野七頭舞保存会」が結成されてから、東日本大震災に直面するまでの過程を明らかにする。中野七頭舞保存会は、自らの伝承・公演活動に加え、小本小学校の「民舞クラブ」設立をきっかけに同校で中野七頭舞の指導を始め、地区出身者の舞い手を育成している。現在の保存会メンバーの多くは、小本小学校で中野七頭舞を学んだ卒業生であり、彼らは進学や就職で小本地区を離れても、公演や講習会のために郷土へ戻ってくる。保存会は、県外の民族舞踊愛好者や教員たちに積極的に講習を行い、現在では、数多くの学校やサークルなどで中野七頭舞が取り組まれている。中野七頭舞は多様な担い手によって構成されており、こうした地域内外のネットワークが、地域コミュニティの維持や東日本大震災発生からの復興支援に機能したことを明らかにした。
著者
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