水稲非作付け期間に施用した家畜ふん堆肥等有機物中の窒素の動態

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家畜ふん堆肥や家畜排せつ物など堆肥等有機物の肥料的効果を簡易に評価して施肥設計する技術開発が進められている.しかし,水稲単作田では堆肥等有機物を秋から春の非作付け期に施用することが多く,水稲作付け開始までの堆肥等有機物由来窒素の動態に関する知見は少ない.堆肥等有機物を化学肥料の代替として利用するためには,堆肥等有機物の種類と施用後日数が堆肥等有機物に由来する窒素の動態に及ぼす影響を定量的に評価する必要がある.そこで,堆肥等有機物(牛,豚,鶏,畜種混合)の培養試験及び窒素の動態調査を行い,以下の結果が得られた.1)温度を2,10,25℃とした培養試験を行い,堆肥等有機物の無機化量ならびに硫酸アンモニウム添加土壌の硝化量を反応速度論的に解析した.いずれも標準温度を25℃とした重ね合わせ曲線に実測値はよく適合した.堆肥等有機物を低温期に施用した場合でも,窒素含量が高いもので無機化率は高く推移し,無機化した窒素の硝化は5℃以上で進行すると推定された.2)非作付け期に施用した堆肥等有機物に由来する窒素のうち,施用後日教が10〜14日程度と短い場合を除き,調査終了時における土壌中の無機態窒素量はわずかであった.6月下旬が平均的な移植時期である本県南部地域において,堆肥等有機物の施用時期が12月から4月の範囲では,堆肥等有機物から無機化した窒素の多くは入水までに硝化作用を受け,流亡及び脱窒作用により損失すると考えられた.3)非作付け期に施用した堆肥等有機物に由来する窒素のうち,次作の水稲作で肥料的効果を示す残効窒素量は堆肥等有機物を施用後10〜50日の間に大きく減少し,その傾向は窒素含量が高いほど顕著であることが示された.堆肥等有機物を化学肥料の代替として利用するためには,窒素含量が高い鶏ふんや豚ふん堆肥について,窒素含量と施用後日数を考慮した施肥設計方法を確立する必要があると考えられた.
2013-12-05

水稲非作付け期間に施用した家畜ふん堆肥等有機物中の窒素の動態

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