有機栽培期間が異なる野菜畑土壌の粗粒有機物,水溶性有機物と微生物バイオマス
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概要
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畑地における有機栽培が分解性および可動性の高い土壌有機物画分に及ぼす影響を検討することを目的として,有機栽培の継続期間の異なる野菜畑土壌を採取し,粗粒有機物(粒径>0.053mm画分の有機物),水溶性有機物および微生物バイオマスの分析を行った.土壌は,ワタミファーム山武農場(千葉県,黒ボク土),倉渕農場(群馬県,黒ボク土)および白浜農場(千葉県,沖積土)の14圃場から表層を採取した.倉渕農場と白浜農場では,有機栽培によって土壌の全炭素量と全窒素量が増加する傾向が認められたが,山武農場では増加の傾向は判然としなかった.粗粒有機物画分の炭素量と窒素量は,倉渕農場と白浜農場では有機栽培の継続期間が長いほど多くなったが,土壌の全炭素量もしくは全窒素量に占める割合に有意な差はなかった.山武農場においては,有機栽培の継続期間が長くなるにつれて粗粒有機物画分の炭素量と窒素量が増加する傾向は認められなかったが,年数が短くとも多量の有機物を施用した圃場では有意な増加が認められた.土壌の水溶性有機物量は,すべての農場において有機栽培の継続年数が長くなるほど増加する傾向が認められ,山武農場では継続年数が長い圃場で土壌全炭素に占める割合も高くなっていた.HPSECでのピーク面積を指標とした水溶性腐植物質量は,有機栽培の継続年数が長くなるほど増加し,水溶性有機態炭素に占める割合も増加した.これは,有機栽培に伴う土壌pHの上昇により,溶出する腐植物質の量が増えたためと解釈された.土壌微生物バイオマス炭素量は,有機栽培の継続期間が長くなるか,もしくは有機物を多量に施用した場合に増加することが認められ,倉渕農場以外では,有機栽培によって土壌の全炭素量に占める割合も上昇していた.微生物バイオマス炭素量は,土壌の可給態窒素量と有意な正相関を示した.
- 2013-02-05
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