「西の魔女が死んだ」に見る不登校を呈する思春期女子の心理 : 精神分析・対象関係論の観点から
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概要
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本稿は、梨木香歩の「西の魔女が死んだ」を素材として、思春期女子の不登校について考えるとともに、その内的世界について、精神分析・対象関係論の観点から考察したものである。 思春期の子どもが不登校になる要因として外的、内的要因が考えられるが、私はそれに発達的要因を加え、移行期における"一旦休止"としての不登校があることを示した。児童期までを良い子で過ごした子どもや、十分な依存関係を持てなかった子どもは、思春期への移行が始まった時、古い自己と新しい自己に亀裂が生じ、発達の連続性を保 てず混乱する。彼らは現実から身を引き"一旦休止"することによって、その時空間を新たな自分を創造する移行空 間として使用し、自分自身や親との関係を見つめ直すことを通して健康な成長を遂げていくのである。その時、子ど もに安心と安全を供給し、子どもからの理想化を引き受ける一方でそこからの脱錯覚とその修復を共にする、母親の代理対象(移行対象)の重要性について考察した。さらに「前エディプス期」「エディプス期」の混在した移行期の女の子の内的世界についても言及した。
- 2014-01-31
著者
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