アセスメントプロセスにおける若手PSWの困難さ : 研修の方向性の模索
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概要
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アセスメントはソーシャルワークの要とされ,質の高いアセスメントができてこそ価値に基づくソーシャルワーク実践が展開できるといえる.若手PSWに対するソーシャルワーク実践力の向上を目的とした研修の方向性を探るために,アセスメントプロセスに着目し,若手PSWのアセスメントの特徴について,面接事例を用いた内容分析をおこなった.その結果,若手PSWのアセスメントプロセスにおける困難性として(1)PSWの枠組みでクライエントのスキルの査定を中心としていること,(2)変換ミス(クライエントの言葉についてクライエントの真意をくみ取れないまま,PSWの言葉で言い換えている),(3)話題の回避(クライエントが話したいと思われることについて避けている),(4)病理・欠損モデル(クライエントの問題点を抽出しようとする視点が強い),(5)直線的理解(状態の原因探しに視点が偏重である)という特徴がみられた.さらに上記5点は相互に影響しあい,アセスメントの本来の目的であるクライエントの全人的理解を困難にしていることがわかった.研修の方向性として,エキスパートのアセスメントスキルの抽出を踏まえ,体験の積み重ねだけにとどまらないアセスメントスキル獲得のための研修の必要性と,そのためのソーシャルワークの「職人技」の言語化の必要性が示唆された.
- 2014-03-31