子どもの面接 : 法廷における「法律家言葉」の分析(<特集>法と心理学の可能性)
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概要
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本研究では、法廷における大人と子どものコミュニケーションを事例的に分析し、裁判官、検察官、弁護士による質問と子どもの反応の特徴、およびその関係を検討した。まず、裁判官、検察官、弁護士の質問について、それらがWH、節、代名詞、否定、付加疑問といった指標をどの程度含むか検討し、また、文字数をカウントした。次に子どもの反応を文による応答、YES/NO、沈黙等に分類した。その結果、検察官の質問にはWHが多く、節や代名詞、否定は少ないこと、文字数も短かいことが判明した。これに対し、裁判官と弁護人の質問は、節や代名詞を含み、文字数も多かった。一方、子どもの反応は、検察官には文で答えることが多かったが、裁判官と弁護人にはYESによる反応が多かった。質問と反応の分析から、短く、WHのある質問、また、節、否定、付加疑問が少ない質問において、文による答えが生じやすいこと、長い質問は沈黙のような情報量の少ない反応を引き出しやすいことが示された。シンプルで短いWH質問が、子どもからより多くの反応を引き出すといえよう。
- 法と心理学会の論文