倒木上での樹木の更新における蘚苔類群集の影響(<特集>枯死木をめぐる生物間相互作用)
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概要
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倒木更新は、北方林を中心に一部の樹種にとって重要な更新様式である。ただし、全ての倒木が倒木更新に適しているわけではなく、樹木の更新密度は倒木間で大きく異なる。その要因として、これまでは倒木発生からの倒木の物理化学特性の時系列変化に着目した研究が多かった。しかし、倒木の時系列変化を評価する方法は、研究間で統一されていない。また、倒木更新の可否をもたらす要因として、生物間相互作用に着目した研究は、物理化学特性と比較すると少ない。本稿では、これまでに実施された倒木の時系列変化の評価方法と、倒木更新に蘚苔類が与える影響を整理した。倒木の時系列変化の評価方法としては、外見で判断する腐朽度、物理的な硬さや養分濃度などの物理化学特性、倒木の発生からの経過年数(毎木調査データの利用、倒木上の最大個体の齢、年輪年代学的手法、倒木の長期観察などによる)があった。また、倒木上の蘚苔類は、倒木更新する樹木の実生に対し、種子の捕捉、水分の保持等の正の影響と、被陰や根の伸長阻害、アレロパシーによる負の影響を与えていることが明らかになった。今後は、倒木の時系列変化を定量的に把握すること、他の生物群が倒木更新する樹木に与える影響を検討する必要がある。
- 2013-11-30
著者
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