スピーチ不安に対するイメージトレーニング方略の効果に関する検討(原著)
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概要
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本研究では,対人場面における随伴性の有無によってイメージトレーニング(visualization方略)の効果がスピーチ不安の生理的側面および主観的側面にどのような違いとなって現われるかを比較,検討することを目的とした。対人不安感の高い傾向にある被験者17名を随伴性あり群(8名)・随伴性なし群(9名)にそれぞれランダムに振り分けた。不安の生理的指標として心拍数を測定し,主観的指標として9つの情動項目に対する評定を行なった。その結果,不安の生理的側面については随伴性なし群に平均心拍数の減少がみられたものの,統計的に有意な減少はみられなかった。また,主観的な不安感については,随伴性あり群・随伴性なし群ともにイメージトレーニソグ後に不安得点の減少がみられた。主観的不安感について随伴性あり群と随伴性なし群で減少の度合を比較した結果,特に随伴性なし群において不安感の低減が顕著であった。本研究の結果からvisualization方略が随伴性の低い場面において主観的な不安感を低減させるのに有効な方略であることが示唆された。
- 日本行動療法学会の論文
- 1992-03-31