小学校英語の開始学年と指導形態の及ぼす効果 : 熟達度テストと意識調査による比較検証
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概要
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本研究は,これまで様々な形で行われてきた「英語活動」が「外国語活動」として必修化されたのを機に,小学校英語の開始学年と指導形態の及ぼす効果について検証調査をすることを目的とした。小学校英語の効果を「技能面」と「情意面」に分け,技能面では「熟達度テスト」として児童英検(ブロンズ)を簡易版にしたリスニングテスト,情意面では「意識調査」として「小学校の英語教育における意識調査」(文部科学省,2004)を参考にしたアンケートを作成した。小学校英語の開始学年と指導形態の異なる3つの小学校の6年生合計95名を対象にして学年末に調査を行った結果,以下のことが明らかとなった。(1)リスニング能力は,授業時間数が102時間や70時間程度では,英語学習の開始学年と指導形態の違いによる統計的な差は現れない。リスニング能力の養成には,「総授業時間数」あるいは「英語接触量」を増やす必要があると示唆される。(2)リスニングテストで最も成績の良かった小学校において,英語の時間・活動を『嫌い』『楽しくない』とする割合が,どちらも統計的に有意に高い。本格的な英語学習が始まる前に設けた導入学年や,英語専科教員・担任などの介在の有無による影響が示唆される。(3)小学校英語の指導は,開始学年と指導形態の如何によらず,まずは,児童の求める「聞く」「話す」に加えて「読む」といった技能面の指導を充実する必要がある。技能面の不足は,英語嫌いを生む原因になる。以上を基に,「外国語活動」の実りある展開が期待された。
- 小学校英語教育学会の論文
- 2013-03-20