英語と日本語における「記憶」に関するメタファー概念の比較意味論的研究(アナロジーと言語表現/思考と言語一般)
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概要
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本研究の目的は,Lakoff&Johnson(1980)の枠組みに従い,「記憶(MEMORY)」に関するメタファー概念が,英語と日本語でどのような類似点と相違点を持つかを,「記憶」の過程を心理学の視点から「記銘(符号化)」,「保持(貯蔵)」,「想起(検索)」という3段階に分類し比較考察することであった.基本参照資料として「英語コロケーション辞典」を使用し,「動詞+MEMORY」という構造の英語表現を網羅的に調査することにより,「忘却」と「記憶力」という項目を追加して,全5項目の分類となった.結果として,各英語表現で使用される具体的な「メタファー概念」が判別され,その種類と数量が明らかとなった.そして,日本語における対応表現との比較により,英語から日本語に直訳可能で類似する「メタファー概念」を持つ表現の割合が判明した.最後に,「メタファー概念」の判別および英語と日本語との対応関係の識別は,いずも主観に左右されかねない要素があるとの課題が確認された.
- 2009-01-30