中国四川省産Pieris shangrillaの新亜種記載
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概要
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小出雄一氏が所蔵する蝶コレクションの中に,Pieris shangrillaと思われる3個体の標本を発見した.同氏が四川省天全県の回龍溝(標高2,000m)で2005年6月に採集した標本である.その後我々自身の標本の中からも,これら3♂と同じ形態的特徴を有する9♂の標本を発見した.それらは九賽溝(標高2,200-2,800m)及び平武の近郊(標高1,700-2,800m)で,1988年から2004年にかけて採集された個体群であった.班紋・発香鱗・♂交尾器及び採集地を精査した結果,これらの個体群には共通して雲南省をタイプ産地とするPieris shangrillaの別亜種として記載するに足る十分な形態的特徴及び地理的地形的隔絶が認められたため,新亜種Pieris shangrilla koidesia(和名:コイデシャングリラシロチョウ,中国名:香格里拉粉蝶四川〓〓)を記載した.新亜種ssp. koidesiaは,名義タイプ亜種(ssp. shangrilla)に比較すると同種の特徴の一つである前翅外縁部の黒帯が極めて薄く退化した集団である.ホロタイプ標本は華南農業大学に保管されパラタイプ標本は,東京大学の大学博物館及びミラノ,ロンドンの自然史博物館にそれぞれ保管される予定.
- 2013-11-08
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