高感度栄養塩類分析法を用いた亜熱帯海域表層の生物地球化学的研究(2013年度日本海洋学会岡田賞受賞記念論文)
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概要
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亜熱帯海域表層の栄養塩類動態を明らかにするために,長光路セルを組み込んだ高感度分析システムを確立し,太平洋亜熱帯域においてナノモルレベル栄養塩類の分布を調査した。硝酸塩+亜硝酸塩は大部分の海域において枯渇していた(<10nM)。一方,リン酸塩は検出限界以下(<3nM)から300nMの範囲で地理的に変動しており,特に西部北太平洋では2,000km以上の領域で枯渇(<10nM)していた。リン酸塩濃度の低下は南太平洋の島周辺でも認められ,活発な窒素固定に伴う一次生産の向上によりリン酸塩が消費されたと解釈された。また,窒素固定の維持にはダスト沈着等に伴う鉄供給が重要であると考えられた。さらに,リン酸塩枯渇域の一次生産を支えるリン源として溶存有機態リン(DOP)に着目した。西部北太平洋ではリン酸塩枯渇下において顕著に高いアルカリフォスファターゼ活性が認められ,DOPのうち易分解性の画分が積極的に利用されていることが示された。
- 2013-09-15
著者
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