2004年に発生したスギ林火災の実態と7年経過後の生残木の現状 : 火災被害林の取り扱いのために
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概要
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2004年2月に発生したスギ火災林の樹冠変色率や幹の火傷高と,7年経過した生残木の幹の形状や腐朽状況を調べた.燃焼した落葉落枝は約10,000kg/haと推測された.調査木全体の樹冠変色率は0〜100%で,値の大きい個体は斜面上部に集中的に分布していた.一方,火傷高は0.2〜3.9mで,斜面位置での分布に偏りは見られなかった.6月と8月に樹冠変色率の高い被害木にキクイムシの穿入孔が確認された.スギの生残木は約55%で,その多くは斜面下部に分布していた.生残木には大きな傷が形成され,94%に腐朽が認められた.供試木4本を伐倒し,地際から樹高方向に20cm間隔で円盤を採取して,腐朽と変色状況を調べたところ,火傷高以上の高さまで木部が腐朽・変色していることを確認した.以上の結果から,スギ林の火災は多くの枯死木を発生させるだけでなく,生き残ったとしても木材の腐朽や変色を促進し,材質を著しく低下させることが分かった.従って,火災が発生した場合,早めの伐倒処理を行うことで材価の低下を防ぐことが得策だと考えられる.
- 2013-07-31
著者
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