維持透析患者への健康教育 : 自己管理と生きがい感の関連に着目して
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概要
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近畿圏の病院と診療所を無作為抽出し,通院している維持透析患者を対象に,自己管理と生きがい感との関連を明らかにすることを目的に,質問紙調査を実施した。調査項目は,個人属性と生活状況(性別,年齢,家族構成,ペットの有無,食事の調理者,就労状況,趣味・友人・近所付き合いの有無など),治療データ(体重増加率,BUN,K,P)であり,血液透析患者自己管理行動尺度および高齢者向け生きがい感スケール(K-I式)を使用し,自己管理行動と生きがい感を測定した。有効回答が得られた297名のデータについて,SPSS15.0 J for Windowsを用いて基本統計量の計算,t検定,χ^2検定,一元配置分散分析,相関,重回帰分析を行い,検討した。維持透析患者の生きがい感には配偶者,就労状況,趣味,友人,近所付き合い,ボランティア活動の有無が有意に関連していた。また,高い生きがい感をもつことが意欲的な自己管理行動につながることが示された。これらより,老年期の維持透析患者にとって他者とのつながりは非常に重要で,このつながりを通して役割の遂行や存在価値を感じることが生きがい感を向上させていることが示唆された。さらに,生きがい感を高めることは,QOLの向上のみならず,良好な自己管理行動にも影響することが示されたことで,看護者には患者が孤立感を抱くことのないよう他者との関わりを強め,拡大させるような健康教育としての介入が求められると考えられた。
- 2013-07-31
著者
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