上口唇、皺眉筋、ならびに母指で行う筋弛緩モニターの比較

概要

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〔背景〕全身麻酔中の患者における筋弛緩効果は、通常、手の母指や、前額部にある皺眉筋で筋弛緩モニターを行うことによって定量的に測定される。しかし、手の上には手術用覆布が掛けられたり、前額部には鎮静度を測定するためのプローベが貼付されたりするため、実際には、手の母指や皺眉筋における筋弛緩モニターは困難である。そこで、上口唇における筋弛緩モニター方法について研究を行った。〔方法〕全身麻酔下に手術を施行される成人患者54名を上口唇群、皺眉筋群、母指群の3群に無作為に分けた。上口唇群では筋弛緩モニター機器(TOF ウォッチ(R)SX)に接続されている刺激電極を顔面神経上に、加速度トランスデューサーを鼻翼付近の上口唇上に装着した。皺眉筋群ではそれらを各々顔面神経上、前額部の皺眉筋上に、母指群では尺骨神経上、母指の屈側に装着した。3群間で最大上刺激電流、ロクロニウム0.6mg/kg投与後の筋弛緩効果発現時間と、T1/controlの最低値、ロクロニウム投与10、20、30・・・90分後のT1/controlとtrain-of-four(TOF)ratio(T4/T1)の回復について比較した。〔結果〕最大上刺激電流と筋弛緩作用発現時間に関しては、3群間で有意差を認めなかった。皺眉筋群では、ロクロニウム投与後のT1/controlの最低値と、ロクロニウム投与10〜20分後におけるT1/controlは上口唇群と母指群より高かった。逆に、皺眉筋群におけるT1/controlは、ロクロニウム投与60分後と80〜90分後には上口唇群よりも低値となった。TOF ratioに関しては、ロクロニウム投与20分後において、皺眉筋群では、上口唇群と母指群よりも有意に高値であった。〔結論〕顔面神経を刺激し上口唇上に加速度トランスデューサーを装着することによって、母指同様に筋弛緩モニターが可能であった。
2013-10-25

上口唇、皺眉筋、ならびに母指で行う筋弛緩モニターの比較

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