澱粉生合成代謝システムの解明と制御(受賞論文)
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概要
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植物は進化の過程で,光合成エネルギーをプラスチド内部に凝縮するために澱粉を創造したばかりでなく,それを貯蔵器官に大量に蓄える仕組みを編み出して生存戦略を多様化した。イネ種子内の澱粉合成過程は数10種類に及ぶ酵素アイソザイムの代謝ネットワークから成るシステムであるが,本研究ではその全貌を明らかにすべく,キーアイソザイムの寄与を重点に分析してきた。主要酵素の構成・活性・特性の解明,精製と抗体調製,遺伝子情報の解明とライブラリの調製,変異体・形質転換体の単離と表現型の解析,澱粉分析法の整備などを通じて,アミロペクチンが合成される基本スキームを明らかにした。イネアミロペクチンは他種アミロペクチンとは異なる分子構造を持ち,イネ胚乳澱粉は他の澱粉と異なるが,これにはキーアイソザイムの種特有の特性や構成が起因している。また,澱粉は構造が植物種や組織により異なり,環境によって変化するという特徴がある。イネ胚乳の澱粉合成システムは,植物が双子葉植物と単子葉植物に分化した後,アイソザイム数を増幅し変異を続けて作り上げてきた完成品でもある。本研究の成果は今後の応用研究への橋渡し役となろう。
- 2012-02-20
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