アイデンティティ確立の個人差が意図的および無意図的に想起された自伝的記憶に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では,アイデンティティ確立の個人差要因が自伝的記憶の想起に及ぼす影響を意図的および無意図的想起の両事態から検討した。研究1では,313名を対象にアイデンティティ尺度(下山,1992)を実施するとともに,日誌法によって無意図的に想起される自伝的記憶の特性を評価させた。その結果アイデンティティ確立高群では,低群よりも重要でかつ感情喚起度が高く.鮮明な自伝的記憶が頻繁に想起されることがわかった。研究2では,114名を対象に研究1と同様のアイデンティティ尺度を用いて,意図的想起事態における実験を行った。その結果,研究1と同様の結果が示された。また,補足的な分析として,研究1と研究2を比較すると,意図的に想起された自伝的記憶は無意図に想起された自伝的記憶よりも鮮明でかつ重要であることが示された。これら一連の結果は,アイデンティティ確立度の個人差が自伝的記憶の想起に影響を及ぼす可能性を示唆している。全体的考察では,Conway & Pleydell-Pearce(2000)による自己-記憶システム(Self-memory system)による解釈が行われ,今後の課題について議論された。
- 2013-06-20
著者
関連論文
- におい手がかりの命名,感情喚起度,および快-不快度が自伝的記憶の想起に及ぼす影響
- アイデンティティ確立の個人差が意図的および無意図的に想起された自伝的記憶に及ぼす影響
- P3-42 「喉まで出かかっているのに出てこない(tip of the tongue,TOT)現象」に付随する情動の日誌法的検討(教授・学習,ポスター発表)
- 26-J-06 教育活動における情動処理能力の貢献 : 記憶と思考の基礎研究と生活場面における利用可能性(自主企画)
- PB-113 日常場面における「喉まで出かかっているのに出てこない(tip of the tongue, TOT)現象」の日誌法的検討3 : 空間特性との関連性(教授・学習,ポスター発表)
- PB-112 日常場面における「喉まで出かかっているのに出てこない(tip of the tongue, TOT)現象」の日誌法的検討2 : 時間特性との関連性(教授・学習,ポスター発表)
- PB-111 日常場面における「喉まで出かかっているのに出てこない(tip of the tongue, TOT)現象」の日誌法的検討1 : 解決方略とターゲットの質的分析(教授・学習,ポスター発表)