ヒトの母子音声コミュニケーションについての動物モデルによる研究(2) : 母ラット聴覚野における仔ラット音声に選択性の増強した反応
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概要
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ヒトの母子の音声コミュケーションの理解には,動物モデルによる基礎的な研究が不可欠である。仔ラットの鳴き声には超音波のほかに,ヒトの可聴域の低周波数の音声がある。低周波数の音声には倍音型音声と雑音型音声が区別され,これらはヒトの乳児の泣き声にも認められる。低周波数の音声は母仔ラットが一緒にいるときに多く発声されることから,母仔の愛着の形成に関与すると考えられる。母仔の音声コミュニケーションにおける母ラットの聴覚野の役割を明らかにする目的で,離乳期後の母ラットで,内因性フラビン蛋白の蛍光を利用した聴覚野のイメージングを行った。刺激として仔ラットの音声より選択した典型的な倍音型音声および,倍音構造をもつが人工的な合成音を用いた。両刺激は未産ラットと母ラットで一次聴覚野に強い反応を起こした。倍音型音声と人工倍音の蛍光反応の強度の比は母ラットで未産ラットより大きかった。母ラットの聴覚野は倍音型音声により選択的に反応しているといえる。聴覚野の可塑的変化が母仔音声コミュニケーション,愛着の形成に重要な役割を果たしていると考えられる。
- 2013-07-00
著者
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