ヒトの母子音声コミュニケーションについての動物モデルによる研究(1) : 仔ラット音声の分析と母仔ラットの関係
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概要
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ヒトの母子関係の形成には音声によるコミュニケーションが重要な役割を果たしている。齧歯類でも仔は超音波やヒトの可聴域の鳴き声を発し,母仔間のコミュニケーションが行われている。ヒトの母子の音声コミュニケーションの基礎過程を動物モデルで研究する目的で,本研究では,仔ラット音声に対する母ラットの聴覚野活動を調べるための第一段階として,低周波数のヒト可聴域の仔ラットの鳴き声を分析し,また,母仔が一緒にいるか,離れているか行動的に調べた。音声スペクトログラムによる分析の結果,仔ラットの音声には倍音構造を示す倍音型音声と雑音成分からなる雑音型音声が区別された。倍音型音声は倍音構造を示す点でヒトの母音に似ており,雑音型音声は摩擦子音(/s/など)に類似している。倍音型音声と雑音型音声はヒトの乳児の泣き声にも同様のものが認められる。仔ラットは母と一緒にいる時にこれらの音声を頻繁に発声しており,これら音声が母仔の緊密な関係維持に重要であると考えられる。仔ラットの音声とヒトの乳児の泣き声に類似点があることから,ヒトの母子音声コミュニケーション研究のためのよいモデルと考えられる。
- 2013-07-00
著者
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