アメリカ新数学運動における教授理論の変容 : マディソンプロジェクトに着目して
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概要
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本論では,アメリカ新数学運動のカリキュラム開発プロジェクトの一つであるマディソンプロジェクトの検討を通じて,新数学運動における教授理論の変容の様相を示すことを目指した。検討によって,三つの結論が得られた。まず,結成当初のマディソンプロジェクトは,イリノイ大学学校数学委員会の影響の下,子どもの能動性を高めることに焦点を当てた教授理論を提唱していたことが明らかになった。次に1960年代中盤のマディソンプロジェクトは,ピアジェらの心理学理論を導入することによって,子どもの認知構造の漸進的な発達という視点を獲得していたことが示された。そして,1970年代初頭のマディソンプロジェクトが,子どもの概念を,大人とは異なる認知構造を持ち,活動を通じてその認知構造を発達させる存在として捉えていたことも判明した。マディソンプロジェクトは,イリノイ大学学校数学委員会を単純に継承していたのではなく,学習を過程として捉える視点を獲得していた。このことは,イリノイ大学学校数学委員会を起点とする新数学運動の教授理論の歴史的系譜において,マディソンプロジェクトが転換点であったことを示している。
- 2013-03-31
著者
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