20世紀初頭カナダ・オンタリオ州におけるヘレン・マクマーチーの精神薄弱者政策主導 : 公立学校精神薄弱学級構想を中心に
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概要
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20世紀初頭カナダ・オンタリオ州において、優生学的観点から精神薄弱者への政策的対応を主導したH. マクマーチーに焦点を当て、彼女の精神薄弱学級構想が成立した背景、およびその内容と意義を検討した。当時、都市公立学校では就学人口増と出席率の向上に伴う学業不振児問題が顕在化し、公立施設では精神薄弱者の処遇問題と経費の膨張という時代的課題があった。彼女は当時の英米の精神薄弱関係者における精神薄弱脅威論を支持し、両国の精神薄弱者施策に依拠して公立学校における対応を提唱する。それらは、精神薄弱児の発見と分離を目的とした公立学校医学検査の導入、および将来の恒久保護施設での生活を意図した実践的訓練を中心的教育内容とする精神薄弱学級の設置であった。1914年補助学級法の成立は、初期精神薄弱教育の基盤形成だけでなく、精神薄弱者の早期発見・訓練と分離処遇による、社会問題の根本的解決という政治的意図が内包されていたといえる。
- 2010-03-25
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