国立保健医療科学院国際保健コース修了生によるJICAネット講義
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概要
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国立保健医療科学院では全て英語で講義する外国人向けの国際保健コースを2000年度より(於:旧公衆衛生院)開設した.当初は2年制で初年度はケニアから1名,以後毎年3人の途上国の学生をJICA(国際協力機構)研修生として受け入れた.2004年度より1年制のコースとなり,外国人と日本人の混成クラスに改組された.本コースは日本人と外国人が混在し刺激しあい,国際的に活躍できる公衆衛生専門家を養成する上で理想的であった.しかし本コースは2012年修了の3人を最後に休止された.12年間という短い期間であったが68人の修了生が巣立ち各国で活躍している(日本20,タンザニア8,中国7,ザンビア・ケニヤ各4,フィリピン・ラオス各3,パプアニューギニア・ソロモン・カンボジア・アフガニスタン・モンゴル・ガーナ各2,スリランカ・ウガンダ・イラク・セネガル・ジャマイカ・エチオピア・サモア各1).著者は2002年度入学者より生物統計学,医療情報学を担当してきたが,改組後はさらに国際保健特論という主に外部講師による自由設計科目も担当した.ちょうどJICAが各国事務所を結ぶテレビ会議システム(JICAネット)を導入した頃だったため2006年1月よりJICAネットを活用した遠隔授業を導入した.JICAネット講義ではコース修了後それぞれの国に戻って活躍する修了生に講師を依頼し,途上国での公衆衛生活動の実践的な報告を学ぶとともに,1年制になって希薄がちであった先輩後輩間の絆を強め,修了生のネットワークを強化するねらいもあった.講義は1年間の在籍期間の最終段階に行なわれ,研修生には「来年は自分が講師になる」という自覚を高める効果をもたらした.JICAにとっては,研修生の帰国後の活動状況をモニターする手段ともなった.本稿ではコースが休止されたことを区切りとして7年間にわたるJICAネット授業の成果をまとめた.計29回の講義が12か国にまたがる16人の卒業生によって提供された.その内容は,わが国にはほとんど知られていないブルリ潰瘍と呼ばれる感染症,ウガンダのマラリア対策,ケニアの水確保と環境破壊問題,モンゴルの貧困層の受療状況そしてフィリピンにおける学校歯科保健の新しい試み等多彩であった.本稿はこれら卒業生による貴重な講義記録を一覧として記録するものである.また録画媒体ならびに講義記録は冊子化して国立保健医療科学院図書館にて閲覧可能とした.
- 2013-08-00
著者
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