日本におけるインドの森林・林業研究
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概要
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膨大な人口を抱えるインドでは、ユニークな森林保全策が適用されているにもかかわらず、林業経済学関連の研究成果はまだ少ない。他分野も含めると森林・林業に関する研究は行われていることから、森林面積の情報とともに海外でのインド研究における日本の位置づけを把握し、そのレビューを試みた。インドの森林面積は19世紀半ば以降に大きく減少したとされるが、1987年以降は微増傾向にある。州ごとの森林率の差は大きく、山岳地の北東部には一人当たりの森林面積が大きい州が集中している。森林政策はイギリス統治下から打ち出され、最初の森林法制定は日本よりも早い。独立以後の施策は森林保全に重きが置かれ、林地の転用制限の一方で指定部族には利用権が認められた。1990年には共同森林管理が導入され、徐々に拡大する中で、マディヤ・プラデーシュ州などでは実態調査に基づいて分析が加えられた。ほかにも北インドにおけるチプコー運動、ケーララ州などにおいては環境開発やアグロフォレストリーに関する実態調査も行われた。今後は森林保全に関する取り組みの他国への適用手法とともに、地理的な条件が不利な農林地の管理放棄対策も研究課題になると考えられる。
- 2012-10-20