大都市圏経済と経済格差 : 研究課題と政策課題(<特集>地域格差の経済地理学)
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概要
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本稿では,大都市圏の経済活動と経済格差について,6つの論点から研究課題と政策課題を整理し研究動向を踏まえつつ批判的検討を加えた.第1は,格差,不平等,貧困という概念の整理と研究意義についてであり,貧困のみを重視せず格差研究との両輪が必要であることを主張した.第2は,社会的格差と空間的視角についてであり,反映論的な都市・地域研究の問題点を指摘し,弁証法的な観点を取り込む重要性を述べた.第3は,大都市圏の社会的分極化をめぐり,日本の大都市圏についても分極化の観点だけでなく専門職化など多面的な接近が必要なことを論じた.第4は,就業,所得,消費の大都市圏内における格差についてであり,包括的指標として所得の重要性は認めつつも,就業,所得,再分配,消費という経済循環の諸側面をより意識する必要性を述べた.また,アメリカ合衆国のように社会的かつ地理的な分極化あるいは分断化が進むのか展望した.第5に,所得格差と資産格差との関わりを取り上げた.日本において分極化が明瞭でないのはなぜか,資産の側面から問題を提起した.第6は,経済格差との関わりからみた大都市圏経済の再編の方向性について展望した.
- 2013-03-30
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