大規模な環境移行下における中堅前期保健師集団の意識・心理面の変化の解明 : 市町村合併した1自治体中堅前期保健師の語りの分析を通して
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
市町村合併は旧自治体から新自治体への移行であり,組織規模・政策方針のすべてにおいて大規模な変化をきたしたことから,本研究では合併を大規模環境移行と捉えた。X地域の合併を経験した中堅前期保健師を対象とし,属する保健師集団の構成・活動内容が変化する中で,対象保健師の意識・心理面等がどのように変化し,その結果として現状を打開する力をどのように獲得したかについて,グループ・ダイナミックスの視点で解明することを目的とした。平成18年1月に合併したX市の中堅前期保健師4名すべてを対象とし,合併前後の保健師活動とそれに対する思いについて半構造化面接を行い,エピソード分析を行った。活動理論を参考に考察したが,中堅前期対象保健師は,新人期を先輩が築いてきた活動の受け手として成長し,合併後は先輩の調整した全市統一した方針の受け手として活動する中で新旧の規範の矛盾からダブルバインドを経験した。その後新市の保健師集団の今後を担うのは自分たちであり,できることから変えていくという意識へと変化していた。これらより合併は,中堅前期保健師に組織のあり方や運営について考える機会を与え,主体的に組織改善に取り組む姿勢を持たせることになったと考える。この課題は中堅後期以降に求められるものであるが,大規模な環境移行が中堅前期保健師に保健師集団の持つ課題や改善策を意識させることになり,その影響力は大きかったと判断した。
- 2013-04-30
著者
関連論文
- 行政分野で働く保健師のキャリア志向尺度の開発および基本属性との関連
- 大規模な環境移行下における中堅前期保健師集団の意識・心理面の変化の解明 : 市町村合併した1自治体中堅前期保健師の語りの分析を通して
- 市町村合併に伴う保健師の活動システムの追跡
- 医療過疎地域の医療職が捉える母子保健医療の現状と健康課題