批判的異文化コミュニケーション研究についての予備的考察 : プラグマティズムの視点から
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概要
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本稿では、異文化コミュニケーション研究における批判のあり方について、プラグマティズムの視点からの予備的考察を試みる。いくつかの研究傾向の変遷を経て、現在の(アメリカ合衆国を中心とした)異文化コミュニケーション研究は、解釈的研究、論理実証的研究、批判的研究が併存する状態に至った(Martin & Nakayama, 1999; 2010)。本稿ではこのうち特に批判的研究に焦点を絞り、これを「抑圧者批判」と「二項対立批判」という二つの便宜的括りに整理した上で、それぞれの可能性と限界について検討する。異文化コミュニケーション研究において、なぜ批判が必要なのだろうか。その場合の批判とは、どのような批判だろうか。マーティンとナカヤマが提示する三つの方法論の併存をとりあえず受け入れたとき、批判的研究は他の種類の研究---解釈的研究と論理実証的研究---とどのように折り合いをつけていけばいいだろうか。これら一連の問いに答えるためは具体的研究事例やメタ認識論的言説を緻密に検討していく作業が必要となるが、本稿ではそうした作業のための最初の足がかりを得ることを目指す。
- 2011-12-00
著者
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