民主と独裁をめぐる論争における張東〓の論理
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概要
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満洲事変(1931年)は,中国の国難と認識され,局面打開のための方策が多数示された。有力だったのが,独裁容認により危機収拾を図る路線と,訓政終了と憲政実施により国民の力の糾合を目指す路線であり,『独立評論』を主たる舞台とする「民主と独裁」論戦が,両路線の対立を象徴する事例として注目されてきた。但し民主と独裁につき議論していたのは,同誌の人々に限られない。本稿は,国家社会党の機関誌『再生』に拠った張東〓に着目する。張東〓は哲学や政治思想に関する著作を次々と発表した著名な知識人だが,民主と独裁について『独立評論』とは異なる見解を示した。その考察を通じ,民主と独裁をめぐる言論の多様な側面を描き出したい。
- 2013-05-25