程千帆・徐有富著『校讎広義-目録編』第一章「目録与目録学」(翻訳)
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概要
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本稿は程千帆・徐有富『校讎広義-目録編』の翻訳である。 『校讎広義』は、「版本編」「校勘編」「目録編」「典蔵編」の四冊からなる。一九八八年に斉魯書社より出版された後、傅璇?が主任をつとめた国家古籍整理出版規劃小組学術委員会編「中国伝統文化研究叢書」第一輯に収められ、一九九八年、第二版が同出版社より公刊された。その際、少しく手が加えられているようであり、本翻訳は第二版に拠った(なお二〇〇一年に河北教育出版社より上梓された『程千帆全集』第一巻から第四巻にも『校讎広義』が収められているが、今回訳出した部分においては第二版との異同はないようである)。 書名にある「校讎」を、著者程千帆は「治書之学」の古称とする。もともと書物の校勘を指した校讎(讎は、ふたりが向かい合って対校すること。その様子がまるで讎同士が向かい合うようであったためこの名がついたという)は、やがて、校勘のみならず、書物の捜求・分類・所蔵についての学、さらには、書籍の分類を通して、学問の系統、またその変遷を明らかにする、「治書之学」の総称となったという。「治書之学」とは訳しづらいことばであるが、書物を十全に活用するための書物に関する学問ということであろう。程氏は、その「校讎学」に「版本之学」「校勘之学」「目録之学」「典蔵之学」という四つの下位区分を設け、各々について一書をなしたのが『校讎広義』である。 本稿で訳出する『校讎広義-目録編』は、第一章「目録与目録学」、第二章「目録的結構及其功用」、第三章「目録的著録事項」、第四章「目録的分類沿革」、第五章「総合目録」、第六章「学科目録」、第七章「特種目録」、第八章「目録的編製」からなる。類書が、個別の目録を時代順に取り上げ、目録学史といった体裁をとることが多いのに対し、『校讎広義-目録編』は、目録の意義を明らかにし、その活用法を説くことに重点を置いていることが、この構成からは窺える。 程千帆教授(一九一三〜二〇〇〇年)は、本名会昌、湖南省長沙の生まれ。金陵大学中文系で、黄侃(季剛)・呉梅(瞿安)・汪国垣(辟疆)・胡光煒(小石)・劉国欽(衡如)などに業を受ける。卒業後、中央技芸専科学校、武漢大学・金陵大学・四川大学などを経て、一九七八年より南京大学で教鞭をとる。著書に、『目録学叢考』(中華書局、一九三八年)、『史通箋記』(中華書局、一九八〇年)、『文論十箋』(黒竜江人民出版社、一九八三年)、『両宋文学史』(上海古籍出版社、一九九一年)、『程氏漢語文学通史』(遼海出版社、一九九九年)、などがある。日本では、特に、『唐代進士行巻与文学』(上海古籍出版社、一九八〇年)が、松岡栄志・町田隆吉訳『唐代の科挙と文学』(凱風社、一九八六年)を通して広く読まれている。二〇〇一年、河北教育出版社より『程千帆全集』一五巻が公刊された。 徐有富教授は、一九四三年、南京の生まれ。南京大学中文系卒業後、同中国語言文学系で学び、一九八一年より南京大学図書館学系に所属、目録学研究室主任などを経て、現在、南京大学文学院、博士課程指導教授(中国古典文献学)。著書に、『李清照』(江蘇古籍出版社、一九八二年)、『書目工作概論』(呉式超との共著、書目文献出版社、一九八九年)、『鄭樵評伝』(南京大学出版社、一九九八年)、『文献学研究(徐?との共著、江蘇古籍出版社、二〇〇二年)、『中国古典文学史科学』(北京大学出版社、二〇〇六年)、など。 訳出にあたっての凡例めいたことをいくつか挙げておくと、引用には、適宜、訳文とともに原文を付した。また引用の出典は、原著ではページ毎に注としてまとめられているが、本稿では、本文の引用箇所末尾に掲げることとした。それ以外の原注は各ページに、訳者による注は章末にまとめて置く。原文および引用の単純な誤植と思われるものは、適宜改め一々指摘しないが、内容理解にかかわる場合のみ、訳者注において触れることにする。
- 文教大学の論文
- 2009-03-16
著者
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大橋 賢一
文教大学文学部
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渡邉 大
文教大学文学部中国語中国文学科
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大橋 賢一
文教大学文学部中国語中国文学科
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大橋 賢一
文教大学文学部中国語中国文学科元非常勤
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向嶋 成美
文教大学文学部日本語日本文学科
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