ルビからみる戦時中の日本語
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概要
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戦時中の日本語の一面を、ルビによって捉えようとするものである。 戦時中の家庭雑誌『家の光』は1942年8月号までは、記事全体にルビが振られていた。そのルビで「日本」に「ニホン/ニッポン」のいずれのルビがふられているのかをみると、1935年ごろまでは、すべて「ニホン」であったのが、戦局が激しさを増すと同時にほとんど「ニッポン」に替えられてしまっている。 また、「知識階級(インテリ)」のように、外来語が従来語・訳語のルビとして用いられる例が多い。そこから、外来語の定着の仕方をみるものである。つまり、外来語導入の過渡期的なものに、そのような外来語と漢字語の併記がされると考えられるので、当該の語句を当時の新聞・辞書、また戦後の新聞・辞書で使用の実情を調べた。その結果、外来語として、現在の新聞では「知識階級」はほとんど使われず外来語由来の「インテリ」が優勢になっている。一方で「空港(エアポート)」のように戦前の雑誌で併記されていた語の中には外来語でなく、「空港」が圧倒的になっているものがあることがわかった。導入された外来語の中にも、従来語・訳語の方が優勢になっていった語があることを示した。
- 2009-03-16
著者
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