知的障害者と家族の老いと暮らし : その社会的地位と社会保障の課題
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概要
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本稿は,統計と事例を用いて,知的障害者とその家族の老いの過程と暮らしの実態を,その社会的地位および社会保障との関連において考察した.知的障害者は,青年期から不安定雇用および失業を繰り返し,あるいは無権利就労を長期に余儀なくされている.その上,所得保障等も不十分なため,高齢期に至るまで家族(親やきょうだい)による扶養・介護等に頼らざるを得ない.一方,本人が45歳以上になると親は年金生活に移行し世帯収入が大きく減少し,家族も介護者の病気や失業・低年金等の生活問題を背負っている.知的障害者と家族の老いの過程は半失業・貧困・健康破壊の構造的問題である.障害者運動の要求も実現されず彼らは経済的にも政治的にも不当に低い地位に置かれている.彼らの社会的地位の確立と生活保障は広範な人々との共通課題であり,その解決には民主主義と連帯の土台としての社会保障の拡充が重要である.
- 2013-05-00
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