「強度行動障害」の研究と地域生活保障の課題(<特集>自閉症・知的障害等の「強度行動障害」)
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概要
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本論は、事例と統計をもとに、具体的な生活実態から、「強度行動障害」の問題の本質を明らかにし、地域生活保障の課題を提起した。その際の基本的な視点(課題認識の方法)は、「強度行動障害」を単に個人と環境との相互作用の中でとらえるのではなく、社会問題としての生活問題に規定されたものとして把握するものである。「行動障害」のある人たちとその家族のかかえる生活や世話・介護の困難・不安は、基本的には、生活基盤の不安定さ、地域におけるつながりの乏しさ、必要な制度・施策の欠如によって生じる生活問題として構造的に生み出されている。そのような幾重にも重複した社会的不利に規定され、コミュニケーションの困難さに媒介されて、本人の思いや願いが「行動障害」というかたちであらわれているといえる。本人だけでなく家族の生活問題を視野に入れて、生活実態に応じた体系的な対策を整備することによって、たとえ行動面の困難さがあっても、人間としての権利が保障された地域生活を営むことができるのである。
著者
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