尿中食塩排泄量セルフモニタリングを取り入れた地域における減塩教育の有用性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
【目的】本研究の目的は,夜間尿の食塩排泄量から推定した24時間尿中食塩排泄量(食塩排泄量)推定値のセルフモニタリングを取り入れた減塩教育の有用性について検討することである.【方法】研究期間は,平成21年12月から平成22年12月(介入期間;研究開始から9ヶ月間,観察期間;介入終了後から3ヶ月間)であった.対象は健常者47名であり,1)0,9ヶ月後に,血圧測定,身体計測2)2,4,6ヶ月後に減塩教室3)0,2,4,6,9,12ヶ月後に家庭で2週間の食塩排泄量のセルフモニタリング4)9ヶ月後に,減塩の意識に関するアンケート,を実施した.【結果】介入前後の血圧値は,収縮期血圧[介入開始時:125.4±15.8mmHg vs.介入終了時:122.1±16.3mmHg,P<0.05],拡張期血圧[介入開始時:77.2±12.1mmHg vs.介入終了時:70.9±12.2mmHg,P<0.01]であり,介入終了時において有意に低値であった.介入前後の食塩排泄量は,2週間平均食塩排泄量[介入開始時:8.28±1.33g vs.介入終了時:7.49±1.20g,P<0.05],最大値[介入開始時:10.85±1.85g vs.介入終了時:9.55±1.80g,P<0.01],変動幅[介入開始時:5.15±1.99g vs.介入終了時:3.91±1.65g,P<0.01]と有意に減少した.しかし,観察期間時である12ヶ月後には変動幅を除き再び増加傾向となった.介入終了時の収縮期血圧と体重,BMI,変動幅,拡張期血圧と身長,体重,変動幅の間には有意な正相関を認め,重回帰分析の結果,収縮期血圧は体重(P<0.05),拡張期血圧(P<0.05)は変動幅のみが説明変数として回帰された.アンケート結果では,セルフモニタリングにより食塩排泄量が改善した群において,減塩意識や食行動の改善が示唆された.【結論】我々が提案する減塩教育法の継続は,高血圧症予防・治療のための新たな介入手段として有用である可能性が示唆された.
- 2011-08-00
著者
-
土橋 卓也
独立行政法人国立病院機構 九州医療センター・高血圧内科
-
安武 健一郎
西九州大学健康福祉学部健康栄養学科
-
澤野 香代子
西九州大学健康福祉学部健康栄養学科
-
山口 生子
西九州大学健康福祉学部健康栄養学科
-
土橋 卓也
独立行政法人国立病院機構九州医療センター高血圧内科
-
坂井 浩子
鳥栖市健康増進課
-
宮井 康家
鳥栖市健康増進課
-
尼寺 はつみ
鳥栖市健康増進課
関連論文
- 高血圧患者における高尿酸血症の実態と意義
- 非肥満非アルコール性脂肪性肝疾患患者の栄養学的研究 : 食事性コレステロールの重要性と薬物療法への展開
- 降圧薬の併用療法と尿酸管理
- 尿中食塩排泄量セルフモニタリングを取り入れた地域における減塩教育の有用性
- P-0997 高血圧患者における薬物治療の実態と服薬アドヒアランスに関する調査(一般演題 ポスター発表,薬物療法(その他),Enjoy Pharmacists' Lifestyles)
- 慢性腎臓病の食事療法基準からみた維持血液透析患者の栄養素摂取量の実態 : たんぱく質・エネルギー消費状態(PEW)の視点から
- 尿中食塩排泄量セルフモニタリングを取り入れた地域における減塩教育の有用性