"The Undefeated"管見 -表現に見る視覚動詞の役割-
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
竹下(2011)は,Hemingway の短編"The Undefeated" の4つの場面における語りの英語の統語的な違いを,Hunt(1965)が提唱したT-unit の概念を利用して浮き彫りにするとともに,作品の多くを占める闘牛場の場面のfree modifi ers の表現上の役割について分析した。その結果,特に,闘牛場の場面に見られる臨場感や緊張感は,それらの計画的配置に大きな原因があることが分かった。本論では,闘牛場の場面にとどまらず,作品全体に漂う独特の雰囲気や緊張感の要因をさらに探るために,竹下(2011)では紙面の都合で言及できなかった視覚動詞の役割について,同じく表現の視点から考察する。本作品中に見られる視覚動詞一つひとつは,その用法において多くは一般的であるが,それが文脈中,他の様々な表現手段と組み合わさるとき,作品特有の空気を醸成する重要な因子としての働きが見えてくる。このことは,それらが,作家の`hard-boiled' スタイルの心理描写を解明する手がかりともなる可能性を示唆している。
- 尚絅大学の論文
- 2012-03-31
尚絅大学 | 論文
- 雨月物語「浅茅が宿」の一視点
- 素龍清書本奥の細道「旅なる哉」考
- 情報教育における聴覚障害者支援取り組み
- 平成18年度後期尚絅大学・短期大学部学生による授業評価の分析と今後の課題
- 動詞の限界性を判定するテストセット