アプレイザル理論を基底とした評価表現の分類と辞書の構築
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概要
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本研究は,大規模データから抽出された評価情報の集約方法として評価極性だけでなく価値基準の種類による集約が可能となるように,価値基準の種類を観点として日本語の評価表現の分類体系を記述し,さらに,価値基準の種類と評価表現の対応関係を記述した言語資源を構築することを目的とする。また,記述した分類体系の妥当性について大規模コーパスを用いて検討する。一般的な国語辞典より評価表現8,544件を収集し,これら全てを価値基準の種類を観点として分類できる体系を,アプレイザル理論における英語のattitudeの枠組みを再構築することで記述した。さらに,記述した体系を用いて価値基準の種類の分類情報を付与した評価表現辞書を作成した。この辞書を用いて『現代日本語書き言葉均衡コーパス』の書籍データで使用されている評価表現182,351件を特定し,評価表現が示す価値基準の種類と日本十進分類法のカテゴリの対応関係についてコレスポンデンス分析を用いて調べた。分析の結果,分類体系において共通の上位カテゴリをもつ評価表現は共通の上位カテゴリをもたない評価表現に比べて,類似した文脈で使用されていることが明らかになった。Harrisの分布仮説では,類似した文脈に出現するものは,意味的にも類似した性質をもつとされていることから,分析結果は,大規模コーパスにおける評価表現の使用傾向から,記述した分類体系の妥当性を支持するものであると考えられる。
- 2012-05-00
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