自然談話における二人称代名詞「あなた」についての一考察 : 認識的優位性(Epistemic Primacy)を踏まえて
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概要
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二人称代名詞「あなた」は、元々空間的遠称を表わす指示詞「彼方」が文法化現象を経て、人称代名詞「貴方」へと意味的変化を遂げたとされている。そのため、先行研究では敬語との関わりが指摘され、社会文化的な観点(例えば、聞き手との社会的上下関係、親疎関係、性差等)から多くの考察が行われてきた。しかしながら、その使用背景の複雑さや日常会話における使用頻度の低さから、日本語教育の現場では、扱いの難しい言葉として知られてきた。本研究では、このような二人称代名詞「あなた」について、自然談話に現れた例を詳細に分析することでその多様性を探っていく。特に、「あなた」が聞き手を直示する場合とそうでない場合に着目し、話者間の認識における非対称性または優位性との関わりを踏まえて、「あなた」の果たす談話・語用論的機能を考察する。そして最後に、本研究の考察が日本語教育・学習の中でどのように応用され、貢献し得るかについて触れたい。
- 2012-00-00
著者
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