相互行為を整序する手続きとしての受け手の反応 : 治療的面接場面で用いられる「はい」をめぐって(<特集>相互行為における言語使用:会話データを用いた研究)
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概要
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ある治療的面接場面の相互行為において,カウンセラーが,クライアントの発言の受け手として反応する際に「うん」と「はい」の両方を用いている事実に注目した.原則的には「うん」を用いているカウンセラーが「はい」を用いるとき,それが,丁寧さを表したり,認知的に特徴付けられる出来事を標示したりしているのではなく,相互行為の組織に関わっていることを明らかにする.クライアントが,受け手(カウンセラー)の理解や了解を前提としてふるまえないような,何らかの問題が生じたこと/生じる可能性があることへの志向性を示した時点で「はい」を用いることにより,カウンセラーは,「今ここ」がそうした相互行為の焦点であることの認識を示している.このことを,複数の断片の分析を通して例証する.また,日常会話からの一事例を用いて,この治療的面接場面のデータで見出されたことが,他の相互行為場面における同様の事象を分析する手がかりとなる可能性についても論じる.
- 2008-03-31
著者
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