幼児と養育者の相互行為における間主観性の整序作業 : 修復連鎖にみる発話・身体・道具の重層的組織(<特集>相互作用のマルチモーダル分析)
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概要
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本稿では,幼児(2歳児)と養育者との相互行為において,相互理解のトラブルが生じていることが参加者の間で公然化され,対処される場面を取り上げる.具体的には,幼児が,自分の発話に対する相手の反応から相手が自分の先の発話を誤解していることを理解し,先の自分の発話をやり直す行為を焦点に詳細な分析を試みる.この分析を通して,言語的資源を大人同様に活用できない幼児でも,身体的・環境的資源を駆使してマルチモーダルに行為を組織することによって,大人との理解の齟齬の解決を図り,相互行為の基盤ともいえる間主観性を維持する作業を達成していることを明らかにする.このことが,「他者の心の理解」の発達研究,とりわけ一つの大きな流れを築いている「心の理論」研究に対して与えうる示唆について考察を加えて本稿を締めくくる.
- 2011-09-30
著者
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