徳川学の流れ : 方言学から社会言語学へ(<特集>徳川宗賢会長追悼)
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概要
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本稿では,徳川宗賢の遺した業績を検討することによって,徳川の学問の特徴を抽出することを試みた.結果をまとめれば次のようになる.徳川は,置かれた状況に対応しつつ,自身の学問の基盤を築き上げてきた.具体的には,(a)徳川には,恩師東条操と,国立国語研究所の先輩柴田武の影響の跡が強く見られる.(b)続いて大阪大学で社会言語学講座を担当するという経験を通して,研究の対象が大きく拡大する.また,具体的な業績については,(C)『日本言語地図』のための調査,糸魚川調査,九学会連合に参加することによって個別的な研究を行うとともに,それらを踏まえたうえで,高所からする方言地理学の理論と方法の深化活動に従事した.(d)また,日本語社会の急激な変貌,日本語の国際化などの現実問題に対応する総合的,実践的な研究分野=ウェルフェア・リングイスティクスを構想した.さらに,誰もが簡単にアクセスできる情報を集積し,研究者間のネットワークを作ることを試みた.自身の思想の独自性よりも,人や環境との相互作用を重んじたところに,徳川の学風があった.
- 2000-03-31
著者
関連論文
- 国立国語研究所編, 『方言文法全国地図4』, 1999年4月30日発行, 大蔵省印刷局刊, B4判, 図56枚・解説, 747ページ, 本体価格39,000円
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