ボランティア活動からみた若者論の試み(<特集I>若者論の可能性、若者の可能性)
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概要
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ボランティア活動の場は、世代の異なる人たちが集まる場である。現代の若者をとらえる手がかりとして、そこでの若者と大人との関係に注目してみたい。ボランティア活動に関わる若者たちは、その場にいる個性的で魅力的な大人たちに興味と関心をもち、導かれたいと考えているのではないだろうか。こうした関係は、リースマンが指摘した他人指向型の類型を用いて解釈することができる。ボランティアの場で実現可能な活動を企画し実践する大人たちは自律型のタイプである。若者たちのほうは、協力的な人間であることを強制され、他者の反応が気になる適応型、あるいは他者の反応に対して過剰に反応するアノミー型ということができる。若者たちにとって、いずれの場合にも、ボランティアの場は、固定した役割やルーティンが確立しにくく、むしろその場に関わる人たちの感情というものが中心になっていると考えられる。こうして人びとは微妙な人間関係のなかで活動に携わっている。中高年の大人たちは「生きがい」として関わる傾向が強いが、現代の若者たちには、そうした意識は顕著ではないのかもしれない。大人と若者が互いに相手を重宝しつつ、ボランティア活動は行われている。若者たちは、現場の大人たちに導かれているのであるが、実は、若者のほうも冷静に大人たちを見極めて選んでいるのかもしれない。
- 2006-05-27
著者
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