集団活動が認知症高齢者の対人行動に与える影響についての検討 : 臨床心理学的視点からのアプローチ
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概要
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認知症高齢者を対象に集団活動を実施することで,対人行動がどのように変化し,それがどの程度継続するかについて検討を行った.グループホーム内での5週間にわたる風船突きの活動とその後の様子をビデオで記録し,3人の認知症者を対象に分析を行った.その結果,わかりやすい刺激や行動の適切な促しがあれば,他者に働きかけようとする能動的で相互的な対人行動が生起しやすいことが確認された.また,集団活動を継続することで,その後の時間や期間にわたって対人行動が変化するということは確認できず,場面の特性や働きかけ方の影響のほうが大きいことが示唆された.そのため認知症高齢者を対象に集団活動を実施する際には,ご本人のもつ潜在的な能力を「引き出し,発揮させる」という発想で援助していくことが妥当であることが考察された.また,職員の成長や厳密な研究を行うための方法について検討していくことの必要性が課題として示された.
- 日本介護福祉学会の論文
- 2010-04-01