認知症高齢者の「笑い」にみる自他理解 : MMSE得点と社会的笑いの関係から
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概要
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[目的]笑いは情動だけでなく自己意識も反映する.そこで,笑いを通じて認知症者の自他理解について検討することを本研究の目的とする.[方法]22人の認知症者に笑いを誘発する個別面接を実施し,そこで表出される笑いを場面や状況から分類した.[結果]MMSEの得点が10点未満の人では,「ほめられることに伴う笑い」が少ないことが明らかとなった.[結論]「ほめられることに伴う笑い」はいわゆる「照れ笑い」であり,自己意識的情動のひとつである.自己意識的情動は,自己意識の発現が基盤となってあらわれる情動であることから,重度の認知症者においては自己意識に混乱が生じていることが示唆される.そしてそのことがコミュニケーション行動全般に大きな影響を与えていることが推測されるが,自他理解の混乱とコミュニケーション行動の障害の関係についてはさらに検討していく必要性がある.
- 日本介護福祉学会の論文
- 2010-10-01