高齢者夫婦世帯の夫を介護する妻の体験 : 自宅介護の後に介護老人保健施設を利用した妻の意識の分析
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概要
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高齢者の介護問題は大きな社会的関心事である.本研究では,近年増加傾向にある高齢者夫婦のみ世帯で夫を介護する妻に焦点を当て,夫の自宅での介護から施設を利用した妻の体験と意識の変化を明らかにし,妻介護者が必要とする援助について検討することを目的とした.介護老人保健施設に入所している夫を介護する,自宅に暮らす妻を対象とし,面接を行い,妻の語りからその体験を分析した.夫を介護する妻は,介護の経過が長くなるにしたがって介護の負担が重くなることを実感し,夫の介護による人生の喪失感をもつ.施設利用に際しては,大きな安堵感を得るが,その反面,深い後悔も感じている.妻たちは夫を介護しようとする強い意思をもつことで夫の介護を継続している.身体介護が主である夫を介護する妻は,何とか自分でみてやりたいと考えるが,妻自身の健康状態の悪化から周囲に勧められて,施設を利用している.認知症の問題行動の介護が主である妻は,とても自分ではみられないと,自ら施設利用を考えている.どちらの妻も,夫の介護には責任を感じており,夫の介護が必要な間は健康でいたいと強く願っている.
- 日本介護福祉学会の論文
- 2005-10-01
著者
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