後頚部温罨法による自律神経活動と快-不快の変化 : 更年期女性3事例からの検討
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概要
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温罨法は自律神経系を整える効果があることが示唆されている。しかし自律神経の失調が生じやすい更年期の女性に対して温罨法がどのように心身に働きかけるのかは明らかになっていない。本研究では後頚部温罨法を更年期の女性に実施し,同一人物に対して,実施した場合としない場合で自律神経活動の変化を記述することを目的とした。被験者自身のコントロールをもつquasi-experimental pretest-posttestデザインにてデータ収集した。更年期の女性3名(事例1〜3)に,3日にわたり,(1)後頚部温罨法(約40℃の温熱シートを10分間貼付),(2)コントロール(乾燥タオルの10分間貼付),(3)後頚部温罨法((1)と同様)の順に実施した。主観的指標は簡略更年期指数と研究者作成の快-不快と眠気のスケールを使用した。生理学的指標として,心拍変動,皮膚電気活動と皮膚温を基準値(20分),後頚部温罨法(10分),安静(20分)の計50分間ベッド上仰臥位にて測定した。事例1と3は,温熱刺激に対する反応とみられる温罨法貼用瞬間の皮膚電気活動や心拍変動の交感神経系の変化はほとんどみられず,また実験終了時には温罨法をしない場合と同様に末梢部位の皮膚温が低下した。これら2事例は温罨法に対する自律神経の反応が少なく,温熱が身体への刺激となりにくいことが考えられた。一方,事例2は,温熱に交感神経が反応するとともに副交感神経の亢進と末梢部位の皮膚温上昇があり,温罨法が身体への快の刺激となったことが示唆された。
- 2010-07-31
著者
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