大学生の性行動様式の変化に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
大学生に対する効果的なエイズ予防教育の基礎資料を得るため,およそ4000人の学生を対象に5年間にわたって4回の性行動アンケート調査を実施した。本調査より次のことが明らかとなった。(1)調査した大学生のうち,4分の1の男子,3分の1以上の女子に恋人がいた。(2)全学年を平均すると,およそ男子の34%,女子の36%が性交経験者であった。(3)大学生の初交年齢は年毎に低年齢化する傾向が認められた。(4)生涯を通して***パートナーは1人が望ましいと考えている大学生は,男子3.7%,女子1.7%に過ぎず,多くの大学生が同時期でなければ複数の相手との性交を肯定した。また,男子では20%以上が同時期であっても複数の相手との性交を是認した。(5)特定の恋人以外の相手との性交経験率は,5年間にわたって一貫して上昇し続けた。特に1年生の女子では,1993年の0.8%が1997年には7.0%に増加した。(6)同性に対する性的行為の経験率は1%内外で,調査年度を通してあまり変化がなかった。今回のアンケート調査から,性の開放,性の若年化が大学進学者においても着実に進行していることが明らかとなった。大学生に対するエイズ予防教育では,ハイリスクな行為を避け,感染を未然に防ぐ効果的プログラムの実施が必要であると考えられた。
- 日本健康医学会の論文
- 1998-07-25