個別組織フィールドにおける外部環境・企業戦略・人事戦略の関連(自由論題)
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概要
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制度組織論における組織フィールド内の収歛化・差異化、変化・安定の議論に基づき、組織フィールドとして日本の製薬産業をとり、大手製薬企業に対して人事戦略に関するケーススタディを行ったところ、ケーススタディ企業の人事戦略は大枠で収歛化していることが発見された。その理由は、欧米型人事戦略の方向に向かって人事戦略が変化しており、変化の度合いにおいて類似性が見られることにある。欧米型人事戦略への変化の度合いについては、職務ベース等級・賃金決定、マーケットペイの普及などケーススタディ企業の変化度合は、日本全体よりも大きいことがわかった。外部環境としての技術環境・制度環境がケーススタディ企業の人事戦略に与える影響について、ケーススタディ企業も含めて多角的な情報収集を行った結果、製薬企業のグローバル化の進展、M&Aの多用といったケーススタディ企業も含めた近年の大手製薬企業における企業戦略がケーススタディ企業の人事戦略に変化をもたらし、これが製薬産業における人材流動化を促進している。そして流動化した労働市場に対応するために、職務ベース等級・賃金決定、マーケットペイなどが必要となり、これがケーススタディ企業の人事戦略変化の大きな推進力となっていた。同時に人材流動化度合いやマーケットペイレベルは職種によって異なっており、これがケーススタディ企業にとって分社化を含む人材ポートフォリオ戦略を推進させていた。このように外部環境・企業戦略・人事戦略の3者間での相互関連によって製薬企業における変化が促進されていることが発見された。
- 2012-11-03
著者
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