最低賃金制度と生活保護制度 : 仕事への報酬と生活保障の整合性(<特集>最低賃金制度と生活保護制度-仕事への報酬と生活保障の整合性(第119回大会共通論題))
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ワーキング・プアへの関心の高まりとともに,最低賃金制度と生活保護制度の水準の整合性が議論を呼んでいる。この議論は,単にその整合性を測る上での技術的な問題だけでなく,仕事への報酬と生活保障の関係をより本質的に問うものである。本稿では,この整合性の議論の前提として,以下の二点に留意すべきことを示した。(1)最低賃金と生活保護,あるいは他の所得保障の水準は,その背後にある労働者生活の標準型の成立と深く関わっており,その標準の崩壊が指摘されている今日においては,それぞれの制度の水準の擦り合わせだけでは,そのあるべき方向性を見いだしにくい。(2)これらの制度の水準が貧困解決に寄与する程度は,労働時間の長さや労働の規則性,および制度のカバーする範囲や給付対象の限定に影響されている。したがって「仕事への報酬」にウエイトを置いてその生活が成り立つようにする政策と,逆に生活保障にウエイトを置いていくべき状況を,労働時間で区分していくことが,ここでの整合性の問題への現実的なアプローチとなるかもしれない。
- 2010-12-20
著者
関連論文
- 戦後社会福祉対象カテゴリーの変遷 : 東京都社会福祉事業を事例として
- 原理・思想部門(2009年度学界回顧と展望)
- 女子大学における生涯学習の意義
- 社会的排除と日本の社会福祉(学会企画シンポジウム:社会的排除の現実とソーシャル・インクルージョンの課題)
- 女性の社会進出と生涯学習の意義
- 女性のキャリア発達の意味 : 大羽綾子の職業的発達分析を手がかりとして
- 第2章 女性たちはどのように「セカンドチャンス」を掴んだのか? : 手記からみた女性たちのキャリア類型
- 原理・思想部門(2008年度学界回顧と展望)
- 研究所創設の経緯と『現代女性とキャリア』の創刊
- ワーキングプアと第2のセーフティーネット対策
- まえがき
- 社会福祉の「対象」とはいったいなにか : 政策・事業による対象の切り取りと序列化(第2部:社会福祉における「対象論」研究の視角,政策・理論フォーラム)
- 深澤和子著『福祉国家とジェンダー・ポリティックス』を読む
- 社会福祉研究と貧困(書評りぷらい)
- 社会福祉原論の手法と課題 (春季大会シンポジウム いま社会福祉原論に求められていること) -- (社会福祉原論の手法と課題)
- 社会福祉原論の手法と課題(春季大会シンポジウム いま社会福祉原論に求められていること)
- 小特集2に寄せて(小特集2趣旨,イギリスのミニマム・インカム・スタンダード(MIS)を用いた日本の最低生活費研究)
- ミニマム・インカム・スタンダード(MIS法)を用いた日本の最低生活費試算 : 他の手法による試算および生活保護基準との比較(イギリスのミニマム・インカム・スタンダード(MIS)を用いた日本の最低生活費研究)
- 最低賃金制度と生活保護制度 : 仕事への報酬と生活保障の整合性(最低賃金制度と生活保護制度-仕事への報酬と生活保障の整合性(第119回大会共通論題))
- タイトル無し
- 社会政策研究としての貧困研究(社会政策研究に求められるもの-公正な社会への政策)