日本における<経済学>系社会政策論と<社会学>系社会政策論 : 戦前期の一断面(<小特集>戦前日本社会政策論の再発見)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1930年代は,日本の社会政策論の大きな転機となった。大河内理論の登場によって,それまで社会政策論の対象であった生活=消費過程が切り離され,社会政策=労働政策へと著しい収斂をみせたのである。いいかえれば,「本来」の社会政策論(=<労働政策+生活政策>)がそれなりの発展を遂げた世紀転換期あたりから1920年代前半までは,日本社会政策論史におけるひとつの画期であった。そうした研究史の系譜のなかで,本論文は戦前期の社会政策論を新たな角度から照射しようとするものである。そこで重要な意味をもったのが,1910年代から1920年代にかけて人口論児童・少年問題保健・医療の領域で論陣を張り始めた社会学をベースとする社会政策論である。それをリードした高田保馬,永井亨をはじめ,生活政策的な社会政策の追究と深く関わった論者の学説は,当時支配的であった<経済学>系社会政策論に対して<社会学>系社会政策論として特徴づけることができる。
- 2010-06-25
著者
関連論文
- 日本における〈経済学〉系社会政策論と〈社会学〉系社会政策論 : 戦前の軌跡(小特集 : 〈経済学〉系社会政策論と〈社会学〉系社会政策論 : 近代日本における交差)
- 日本における〈社会学〉系社会政策論の展開 : 戸田貞三の所説を中心に
- 日本における厚生学の提唱 : 続・海野幸徳論
- 戦後日本における系社会政策論の展開 : 福武直を中心に
- 〈経済学〉系社会政策論と〈社会学〉系社会政策論 : 近代日本における交差 (小特集趣旨)(小特集 : 〈経済学〉系社会政策論と〈社会学〉系社会政策論 : 近代日本における交差)
- 法政大学大原社会問題研究所編, 梅田俊英・高橋彦博・横関至著, 『協調会の研究』, 柏書房, 2004年2月, 384頁, 5,460円
- Deborah J.Milly Poverty equality and growth : The politics of economic need in postwar Japan (Harvard University Asia Center 1999.)
- 池田信著, 『社会政策論の転換-本質-必然主義から戦略-関係主義へ-』, ミネルヴァ書房, 2001年7月, ix+210頁, 3,600円
- 〈シンポジウム〉 大都市における雇用促進事業を考える : 大阪からの発信 (小特集 : 現代の失業実態に関する総合的調査研究)
- 小特集 : 現代の失業実態に関する総合的調査研究 大阪を中心として
- 二村労働史学と現代を結ぶもの (小特集 : 近世・近代日本労働史の方法 : 働く人々へのまなざし)
- 社会政策研究と地域
- 巻頭言 現代日本のポバティラインを考える
- コメント(第18回教育改革シンポジウム)
- 日本における社会衛生学の展開 : 暉峻義等を中心に(シリーズ「健康格差と都市の社会経済構造・歴史班」)
- 藤田菜々子著『ミュルダールの経済学 : 福祉国家から福祉世界へ』
- 学問的系譜と継承すべき伝統
- 小特集に寄せて(小特集趣旨,日本の系社会政策論と福武直)
- 同和地区就労対策の基本問題 : 実態調査からの提言
- 日本における系社会政策論と系社会政策論 : 戦前期の一断面(戦前日本社会政策論の再発見)
- 福武社会政策論の世界(日本の系社会政策論と福武直)
- 小特集に寄せて(戦前日本社会政策論の再発見)
- 消費経済学と家政学,そして社会政策学 : 森本厚吉を中心に (シリーズ「健康格差と都市の社会経済構造・歴史班」(その2))
- 社会保障改革の政治経済学(社会保障改革の政治経済学-社会政策学会第115回大会共通論題)
- 2 現代日本のポバティラインを考える(I 共通論題=「格差社会」のゆくえ)