再送パケット長保持性のIEEE 802.11 DCFのグッドプットに及ぼす影響について(QoS)

概要

論文の詳細を見る
本稿では、再送されたパケット長は最初の送信時のパケット長と等しくなる性質である再送パケット長保持(RPSP: Retransmitted Packet Size Preservation)性がIEEE 802.11 DCF (Distributed Coordination Function)のグッドプットに及ぼす影響を考察している。ビット誤りによるパケット廃棄率は、パケット長にほぼ比例する。よって、RPSP性により、無線チャネル上で実際に転送されたパケット(転送パケットと呼ぶ)の長さの分布は最初のパケット送信時に生成されたパケット(生成パケットと呼ぶ)の長さの分布と大きく異なる場合がある。さらに、転送パケット廃棄率は、転送パケット長がパケット送信毎に独立であると仮定した場合と比べて、大きくなってしまう場合がある。グッドプット値は、転送パケット長の分布や転送パケット廃棄率に依存するものの、今までの性能モデルでは、RPSP性を十分に反映していなかった。そこで、本稿では、RPSP性を考慮したIEEE 802.11 DCFのグッドプットの近似解析解を導出するとともに、実際のIPパケット長の測定結果を使ってRPSP性のグッドプットへの影響が顕在化する条件を考察する。
2012-03-01