大量下血と意識消失で発症した回腸重複症の10歳男児例

概要

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症例は,10歳男児.2年前から腹痛・黒色便を認めていたが,経過観察されていた.今回,課外授業中に突然の大量下血と意識消失を認め,救急搬送された.精査にてMeckel憩室と術前診断し,腹腔鏡下手術を施行した.腹腔内を観察すると回盲弁から30cm口側回腸に病変を認めた.病変部位を含む小腸を臍部カメラポート部より腹腔外へ導出後,病変部位を含めた回腸を部分切除した.病理組織所見では,胃粘膜組織を含む管状型回腸重複症であった.また,重複腸管の開口部は腸間膜側に認められ,mesodiverticular bandは認められなかった.以上の所見から,管状型回腸重複症と診断した.腸管重複症は,病変部位に胃粘膜を有する場合,自験例のように大量下血を来しうる.黒色便症例において胃・十二指腸潰瘍が否定された場合,自験例のように異所性胃粘膜の存在を考える必要がある.また^<99m>Tcシンチグラム陽性の場合でも,Meckel憩室と腸管重複症の両者の可能性を念頭に,治療方針を検討する必要があると考えられる.
2012-10-20